たびより日常(仮)

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【映画記録】『僕と世界の方程式』 あの子と僕の違いって何?台湾の街並みも楽しめる映画

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映画情報

 

邦題:『僕と世界の方程式』

原題:『A Brilliant Young Mind

監督:モーガン・マシューズ

脚本:ジェームズ・グレアム

製作:イギリス 2014年/2017年公開

ジャンル:ヒューマンドラマ 111分

 

あらすじ

数学の才能を持った、自閉症の少年ネイサン・エリス。

一番の理解者で、いつも笑わせてくれた父は、ある日突然亡くなってしまいます。

数学に落第した母と、癖強めな数学の先生と過ごす日々。

数学オリンピックのイギリス選抜メンバーに選ばれたネイサンは、

海外合宿へ旅立ちます。

コミュ力お化け(正常発達?)のアイザック、中国チームの優しい女子チャン・メイ、

同じ自閉症だというルーク。

父さんは天才だって言ってくれていたけれど、自分より優秀な人が沢山いる。

色んな人たちと触れ合う中で、頑なだったネイサンが変化していきます。

数学オリンピックの先にあるものとは?

 

ネタバレ風味の感想。 違いって何だろう。

※劇中では”自閉症”と字幕があったので、それに従っています。

 

プライムビデオを徘徊していたら、発見。

面白そうな予告とタイトル。冒頭を流してみて気づきました。

あ、これ見たことあったわ。見るのは2回目でした。

 

登場人物たちの属性や背景が、色々に描かれているのが良かったです。

皆がみんなポジティブに描かれているのだとしたら、

多分最後まで見ていなかったと思います。

性別、親戚同士のしがらみ、病気、ルーツ。みんな何かしら抱えている。

 

中でも、天才だと言い聞かされて育ってきた、

二人の自閉症の男の子(ルークとネイサン)の対比が印象的でした。

自分なりに打ち解けようと頑張っても失敗してしまうルークと、

なんとなく周囲と打ち解けられるネイサン。

選抜に選ばれた子と、選ばれなかった子。

二人の差は何なのだろう、見ていてちょっと苦しくなります。

 

二人は、窓以外左右対称の2人部屋で合宿生活を送るのですが、

あるのは、たった一つの窓の違い。

窓っていったい何の象徴なのでしょう。

 

周囲の子たちとすぐに打ち解けることのできるアイザックが、

自閉症のウィークポイントについて指摘するシーンがあります。

”適応力だよ、自分の姿を変えて周囲に溶け込むんだ”

と言うんです。

 

ルークもネイサンも変わることが苦手なのは同じ。

周りと上手くやりたいのも同じ。

確かに、アイザックが言わんとしていることは結構正しいのだろうけれど。

それでも、「違いは適応力だ」って、

実際にはそう、簡単に言い切れるものではないよね、っていう気がします。

 

同じ種類の特性だからと言って、グラデーションがあるわけです。

だから、単に「Aが無いから(適応力の有無の違いだけ)」とかいう話で

片づけられないのが、実際じゃないかなって思います。

グラデーションのわずかな濃淡で、救われない”天才”が沢山いるんですよね。

中国語では人とコミュニケーションが取れたり、

適応力があるような描き方をされて、どんどん変化していくネイサンですが、

そこは結構ファンタジーなのかな、って思いました。

 

だから、人によっては映画評価の星の数が少し欠けているのかな、って推測。

でも私はそれも含めて、好きな映画でした。(ファンタジーだっていいじゃない)

だって、希望や明るさを持ったりしたいですからね。

 

お気に入りのシーン。エビが食べたくなる。

素敵なシーンが沢山あるのですが、

中でも好きなのが、合宿先で仲良くなった女の子(チャン・メイ)

と公園でご飯を食べる場面。

主人公のネイサンは、数に対するこだわりが強くて、

素数じゃないと食べられません。

エビフライ(?)は、7個じゃないとだめ。

 

地元で暮らしていた時は、お母さんがお店の人に頼み込んで

テイクアウトの内容を調整してくれていたんですね。

だから7個以外のエビを食べることは、考えられないネイサン。

 

紙のテイクアウトボックスを開いて、戸惑います。

中に入っていたのは、8個のエビ。

「8個だ」とつぶやいて、動揺していると、

合宿先で仲良くなったチャン・メイが、隣からすっと手を伸ばして、

1個エビを食べちゃいます。何も言わずに、おいしそうに食べちゃう。

これで7個でしょ?って、表情です。

生まれてはじめて、8個のエビを切り抜けることができたわけです。

違いがあるって、悪くないかも。そんな気持ちになれます。

 

答えは意外とシンプル

当事者になると、どっぷり入ってしまっているから見つけにくいんですよね。

最後は、疲れてしまったネイサンの母親も、ちょっと解放されます。

離れてみる、切り取ってみる。

窓って、そういうこと…?

 

おすすめの人とか

・自分の不器用さ、周囲とのズレにモヤモヤしている時

・ちょっと明るい気持ちになりたい時

・青春成長ものを見たい時

・多発性硬化症、自閉症スペクトラムモチーフの作品を探している人